どんぐり商店

くだらないはなし

クリスマスレッド

私の血はワインで出来てるの

 

と、断言した人がいる。

 

私は、

私の血はトマトジュースで出来てるの

と、思っている。

 

トマトジュースが好きで、ほとんど毎日飲んでいる。

血液の全部とは言わないけど、

1割くらいはトマトジュースでもおかしくない気がしてる。

 

トマトジュースを飲むのは、夕方。

定時をすぎると私はコンビニにゆく。

残業に備えて、おにぎりをひとつ、トマトジュースをひとつ。

 

迷う時間が煩わしくて、いつも同じものを買ってしまう。

トマトジュースなんて、きっと目をつぶってでも

商品を取れる自信がある。

一番上の棚、右から3列目と4列目。

 

今日も通りすがりに足も止めず、棚からトマトジュースのパックをとった。

そしてレジに向かう途中でいつもと違う雰囲気に気付いた。

 

BGMがね、クリスマスなの。

 

そしてお客さんが、少ないの。

 

あぁ、

とすぐ気づいた。今日は12月25日、クリスマスだ。

家族とだったり、恋人とだったり、友達とだったり。

コンビニからほど遠い世界で、きっとみんな幸せに過ごしているんだ。

 

自分の手元をふと見た。

コンビニのおにぎりで空腹を埋めようだなんて。

急に侘しくなって、私はセルフレジに変えた。

 

 

その日家にたどりついたのは、23時40分だった。

私のクリスマスはあと20分。

 

自分の部屋に入ると、アマゾンの大きな段ボールが

部屋の真ん中にでんと置かれていた。

アマゾン?私なにか買い物したっけ?

 

段ボールには、緑と赤のキラキラの包装紙が申し訳程度に貼られ、

箱の上面にはグレーの大きなリボンが、セロハンテープでくっつけられていた。

 

この雑さ。贈り主はすぐ分かった。

小学2年生の甥っ子だ。

 

なんだろう?

ベッタベタに貼られたセロテープに苦戦しながらなんとか箱を開けた。

そこには手紙が一通

 

2日前にあげたクリスマスプレゼントの

本とおもちゃへのお礼が、彼なりの全力の丁寧さで書かれていた。

 

そして、手紙の下には

ぎっしり詰まった トマトジュース。

 

このセレクトは間違いなく妹だ。

私がお気に入りの銘柄のトマトジュースが2種類。

 

嬉しいな、と素直に思った。

私のことを覚えていてくれてるっていうだけで。

相手のことを思いながらプレゼントを選ぶのが楽しいように

相手に思われるプレゼントっていうのも、これまた楽しいものだ。

 

明日からしばらくはコンビニでトマトジュースは買わなくていい。

定時になったら、私は職場の冷蔵庫からトマトジュースを取り出す。

そして甥っ子と妹を思い出して、少しニヤニヤしながら

トマトジュースを飲むんだろう。

 

この赤が私の血になるのよ、と思いながら。

 

メリークリスマス!(もうとっくに終わってるけど。)