給湯室の恋
会社の給湯室でよく一緒になる人がいる。
彼は年下で、爽やかで礼儀正しく、
イギリス出張の時に買ってきたという紅茶を淹れている。
少し砂糖を入れているのがまたかわいらしい。
そして「そばがらさん、お仕事大変そうですね」
とかはにかんだ笑顔で言われたりしたら、もう、
一日スキップで過ごしたくなる。
一度残業帰りに一緒になったとき、
紅茶君は紺色のタンブラーを洗って給湯室に置いていった。
ふと見ると、給湯室の食器洗いスポンジがボロボロじゃないのさ。
紅茶君がこんなボロボロスポンジを使ってるなんて、
おばちゃん心が痛むわ。
という訳で家から新品スポンジを持ってきて、
朝いちばんに給湯室に置いといた。
もちろん紅茶君は私が持ってきたなんて知らないけど、
でもいいの。紅茶君のためになるならっっ。
純愛だわ(?)
その日の昼。
「給湯室の新しいスポンジ、そばがらさんが持ってきた?
ありがとね。」
って、声をかけてくれたのです、
忍者が。
なーぜーお前が気づくのじゃーーー。
千葉出張に行ってしまった紅茶君のタンブラーを眺めて
ひとり給湯室で緑茶を淹れるそばがらでした。