どんぐり商店

くだらないはなし

蚯蚓

日傘でつくる小さな日陰の下を
こっそり歩く夏の朝、通勤。

8時半の太陽はすでに朝のまなざしをやめて
ジリジリと町を焦がし始めている。


歩道でミミズが死んでいる。
干からびて曲がって、切れた輪ゴムのようだ。
踏まずに歩くのが難しいほど、その歩道は
無数に干からびたミミズが散らばっていた。

彼らは何を思って地上に出たのか。
何十、何百もの命を犠牲にしてまで
何を言おうとしているのか。

そう思うと、切れた輪ゴムが今度は文字に見えてきた。

「し」 「つ」 「く」 「へ」
「C」 「J」 「S」 「U」

これはミミズのダイイングメッセージに違いない!

「つくしへ USJ (たの)C」
命を張ってまでUSJの楽しさを伝えるミミズ。
伝えたい相手は、花より男子のつくしちゃんだろうか。
分かったよ、ミミズたち。
つくしちゃんに会ったら必ず伝える。
君たちの死は無駄にはしない。


そして今朝、雨が降った。

切れた輪ゴムたちは水分を含んで生前の姿に近くなっていた。
こころなしか、昨日より散らばる文字の数が少ない気がした。