どんぐり商店

くだらないはなし

そういう次元の話じゃない

いつでも捜しているよ どっかに君の破片を
旅先の店 新聞の隅
こんなとこにあるはずもないのに
山崎まさよし One more time, One more chance


山崎まさよしの元カノはきっと三次元だと思うんだけど、二次元の新聞の中に捜そうとしている。次元越えるってどうかしてるよね。この血迷いぶりが恋というやつ?

恋、ねぇ。わっかんないなぁ。
好きなことならわかる。私は読書が好きだ。本がある場所にふらふらと吸い込まれる。図書館、本屋、古本屋。

その日も食料品の買い出しに来たはずなのに、スーパーの二階にある本屋を歩いていた。
本屋大賞候補のあの本はどんな感じで並んでるかな、先日文庫化されたあの本は爆売れしてるらしいけどほんとかしら。雑誌や漫画には目もくれず、文芸コーナーめがけて早足で向かっていたその時、叫び声が聞こえた。

「煉獄さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!」

え?と思う間もなかった。
ビタっと足がとまって、ブンッと振り返る。
自分の髪の毛が宙を舞うのが目の端で分かるくらい、高速で振り返ってしまった。

小さなディスプレイに炭治郎が映っていました。声はそこから聞こえたらしい。
鬼滅の刃 無限列車編 DVD・ブルーレイの宣伝動画。

自分の動きに、自分自身が一番驚いている。
何で足止めてるのか、何で振り返ってるのか自分でも分からない。一体どういうつもりか自分を問い詰めたい。そこに炭治郎がいると思って振り返ったの?んで、その先には煉獄さんがいるとでも??
反射的に振り返った自分がちょっと気味悪かった。

それからおよそ1年後、同じ本屋で。
また私は前のめりで歩いていた。
芥川賞直木賞発表された直後の売り場、気になるぅ・・あわよくば立ち読みしちゃおう、ちょっとだけ、ちょっとだけねー

「来い、里香ー--------ーっっっ!!!」

ガバッッッッッ
足が勝手に止まる。歌舞伎の連獅子かって勢いで髪をたなびかせ、全速力で振り返った。またもや脊髄反射

呪術廻戦 0 映画の告知動画でした。
乙骨先輩が呪いの里香ちゃんを従えて叫んでた。

ねー--!!!自分がキモい。乙骨の向かい側に、夏油がいると思った?「ならばこちらは大義だ」って言うとでも?
二次元だから!いくら煉獄さんや夏油様がよくても、三次元にいるはずないの。次元は越えられないの。

分からん・・
まさか・・これが、恋ってやつ?(絶対ちがうと思う)

いつでも捜しているんですかね?
どっかに君の姿を。
片田舎のスーパー 二階の本屋で
こんなとこにいるはずもないのに。

私はマスクの下で鼻歌うたいながら、漫画コーナーへと歩き始めた。