どんぐり商店

くだらないはなし

カサつく心

当たり前 って、こんなにもあっけなく変わってしまうものなのか。
毎日出社していない。友達と外食しなくなった。ジムに行くのをやめた。
見えない脅威が日常を変えてしまった。

お店の入り口にアルコール消毒のポンプが置かれているのが日常になった。
当たり前にマスクをして、当たり前に手指消毒をする。

少ない出社の帰り道、薬局に寄った。
入り口でシュッと手に吹きかける。
手をこすり合わせながら通路を足早に過ぎる。
なるべく早く買い物は済まそう。お店の滞在時間は短めに。

それにしても何か手がベタついている?
商品を触るたびにペタペタとくっつく。
会社でつけていたハンドクリームが、さっきの消毒の水分で溶けたのかしら?

会計を終えて、出口に向かう。
お店を出るときも消毒をしたい。
こんな感覚が普通になってしまった。
世の中が汚い、みたいな。
ちょっとカサついた気持ち。

で、シュッとしようとして気づいた。
ポンプに張り紙がしてある。

「お風呂上がりの潤い肌へ。クリームみたいなボディーローション」

!!!!!
アルコール消毒じゃないの!?
なんでここでボディーローション!

道理でベタベタしたはずだわ。
ウィルス除去せずに、潤い肌になっていたんだから。

ちょうどすれ違いで入店してきた女性が、当然って流れで手にシュッとやっていった。

・・。
ですよね?
店先で手に潤いを与えるのは、当然ですよね?

私が家から出ないうちに、
世の中ではどんどん新しい「当たり前」が生まれているのかもしれない。