どんぐり商店

くだらないはなし

恋のリハビリ

「力・・抜いてください?」

からかうような笑いを含んだ声で彼が言う。

 

顔が近い。

瑞々しい肌、

切れ長の瞳、

額にかかる前髪。

彼は若い。

きっと私より十以上は年下だ。

 

彼の手が、私の背中に回される。

ここまで来たら、状況に身をまかせるしかない。

私は覚悟を決めて、目をつむった。


 

「ア、アイタタター!」

 

 

えっと、

スポーツ整形のリハビリ科にいます。

腰がおかしくて。

 

そして理学療法士の若者に、背骨をゴリゴリ押されています。

涙がにじむほど痛い。

 

「痛い?笑

 こんなに背骨かたい人、滅多にいないなぁ。笑」

そうやって半笑いで、全然手を緩めない

私の担当理学療法士は、きっとドSです。

 

およそ20分のリハビリ後、涙目で帰るんですけど

とても、とてもとても、体調がよい。

なんでしょう

リハビリの効果なのか、ドSな彼へのキュン効果なのか。

 

そして私はまんまと今週もウキウキと整形外科に通うわけです。

ホストクラブに通う気持ちが、そのうち分かっちゃうかもしれない。